ライ麦パンを焼いてみよう
ライ麦パンと聞いて皆さんはどのようなパンを思い浮かべるでしょうか?日本では少し馴染みが薄く、黒くて、固い、ずっしりとしたパンを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。もともと、ドイツなどヨーロッパの寒冷地では小麦の栽培が難しく、そのかわりにライ麦でパンを作って食べていました。ライ麦は小麦のようにはグルテンが生成されないために、あの黒くて、ずっしりとした噛みごたえのあるパンの仕上がりになります。そして、ライ麦はパンを焼く時に使う一般的なイーストでは、生地が膨らまないない為に、サワードウを使います。
ここでは、強力粉を生地のベースに使い、ライ麦と全粒粉を混ぜる事で、ふんわり、そしてしっとりと口当たりが良く、さらにライ麦の風味をしっかりと感じることの出来る、ライ麦パンに馴染みのない人にもとても食べやすく、風味豊かなライ麦パンのレシピを紹介したいと思います。
ステップ 1 – 元種の準備
ライ麦パンを焼くのには、サワードウスターターを使用することが必須です。粉と水を混ぜ、1~2週間程度、粉と水の追加と攪拌を繰り返す事でサワードウ・スターターと呼ばれる元種を起こす事出来ますが、このページでは、その元種からどのようにパンを焼いていくかという事を記録しています。まず、スターターを起こすところから始める方は、下の記事を参考にしてみてください。
酵母を起こす事が出来たら、冷蔵庫に保存しておいて、パンを焼く前日、もしくは前夜に冷蔵庫から出し毎回小麦粉と水を足して元種が減ってしまう分を補っておきます。
用意するもの:
さて、ライ麦と全粒粉入りのサワードウブレッドを焼いてみたいと思います。全体の行程は、基本のサワードウブレッドと変わりません。
1.スターター 90g に全粒風 25g とライ麦粉 20g 水 47cc を加えよく混ぜます。
元種のスターターと、それに新たに加える粉と水の合計の量が大体半々ぐらいになるようにしますが、慣れてきて、酵母も元気だと、元のスターターはもっと少なくても大丈夫ですし、きっちり計らなくても問題ありません。それと、加える粉と水ですが、それも大体半々になるようにしますが、ライ麦粉をスターターに使う場合、吸水率が高いので、水が同じ量だと少し種が固くなり過ぎるように感じますので、僕は水の方を若干多めに調整しています。色々粉の比率を変えたりして、調整してみるのも面白いと思います。
2. 室温で放置します。
温度や湿度によって、膨らみ方が違いますが、大体1~2時間でプクプクと気泡が表面に現れ、数時間すると量が2倍程度に膨らみます。
例えば、パンを焼く前日の夜に、1. の作業をすれば、そのままキッチンに置いて寝てしまって構いません。翌朝には丁度2倍程度には膨らんでいると思います。
ステップ 2 – パン生地の生成
用意するもの:
- スターター 60g
- 強力粉 (キタノカオリ) 175g
- 全粒粉 (キタノカオリ) 45g
- ライ麦粉 30g
- 水 (20℃前後) 170cc
- 塩 4g
- スクレーパー
- バネトンバスケット (21cmX15cmX8cm)
- デジタルスケーラー
1. ボールに、分量の強力粉、全粒粉、ライ麦粉をそれぞれふるいにかけて入れ、粉全体がムラのないように混ぜ合わせます。
2. 水に塩をよく溶かしてから、1. の粉の入ったボールに注ぎます。混ぜる時は、捏ねるというよりも、粉と水を一つに纏めるというイメージです。まずはスクレーパーを使って、ボウルの底の方から粉を返していきます。徐々に粉と水が一体となっていきます。ある程度粉と水が混ざったら、今度は手で一まとまりにしていきます。
3. ボールにラップをかけて室温で30分から1時間放置します。捏ねてグルテンを生成するのではなく、時間をおく事でグルテンを生成します。
4. 3.でしばらく時間を置いた生地にサワードウ・スターターを混ぜていきます。まずは、3. の生地を伸ばして広げます。端を持って広げれば、グルテンが生成されていて生地が伸びると思います。伸ばした生地にスターター60gを入れ、中央に包み込んでいくようにしながら、しばらく混ぜます。かなり水分量が多くベタベタと手にくっつく状態ですが、気にしなくて大丈夫です。
5. ボールにラップをかけて室温で30分から1時間放置します。
6. 1回目のストレッチ&フォールド。読んで字の如く、伸ばして折り畳むという感じです。丸くまとまっている生地を大体6~8回円形状に伸ばしては折り畳むという作業を繰り返します。捏ねるのではなく、優しく伸ばして折り畳む。これがポイントです。
7. ボールにラップをかけて室温で1~2時間放置します。
8. 2回目のストレッチ&フォールドです。少しずつ生地が膨らんできているので、その膨らみを出来るだけ潰さないように、1回目の時より優しく伸ばして折り畳みます。今度は大体4~6回ぐらい伸ばしては折り畳むという作業を繰り返します。
9. ボールにラップをかけて室温で2~3時間放置します。
10. スクレーパーを使いながら、生地を優しくボールから粉をひいた台の上に移します。軽く四角く薄く伸ばし、上下左右で計4回ほど折り畳み軽く成形をして、30~60分ほど生地を休ませます。
11. 最後に4回ほど伸ばして折り畳むという作業を繰り返し、生地の表面を張らせ、形を楕円状に整えます。生地の表面に粉を振って、布をひいたバネトンバスケットに入れます。(粉を振った生地の表面がバスケットの底に来るようにひっくり返します。)
12. 最終の発酵過程です。大体2~3時間室温で置いておくと2倍ぐらいまで膨らみます。
* 夏の気温の高い季節は、9. と12. の過程を冷蔵庫で発酵させてやると、過発酵にならず生地がダレずに仕上がります。冷蔵庫で発酵をさせる場合、少し発酵に時間がかかると思います。
ステップ 3 – パンを焼く
用意するもの:
- ダッチオーブン (内径×深さ(mm)φ220×100)
- クッキングシート
- カミソリ
1. オーブンにダッチオーブンを入れ250℃で予熱する。
2. 予熱が完了したら、生地をバスケットから取り出し、クッキングシートの上におく。
3. カミソリでクープを入れる。
4. ダッチオーブンを取り出し、クッキングシートごとダッチオーブンに入れ、蓋を閉めて230℃で25分焼く。
5. ダッチオーブンの蓋を開けて、240℃で10分焼く。
Comment