パラダイス酵母で焼くカンパーニュ


パラダイス酵母って何?!

先日パラダイス酵母なる酵母液をもらいました。ネーミングからしてヤバい雰囲気が伝わってきます。リンゴ果汁が発酵した酵母液のようです。少し調べてみると、2007年に福島県の「安斎果樹園」というところで偶然炭酸発酵したリンゴジュースが、鎌倉のパラダイスアレイという少し変わったパン屋さんへと株分けされたのが起源となっているようです。発酵ブームに乗って、一部で信者も多いようですが、まぁ僕はあまりそういう神格化されたストーリーに興味はないのですが、とにかく発泡力が凄くて、これでパンを焼いてみようと思い立ちました。

一度目の失敗

パラダイス酵母をもらった時に、しばらく酵母液を放置していたと聞いていたので、まずはフィーディングからと思い、スーパーでリンゴを買って来ました。リンゴの実半個をすり下ろして、絞った果汁を酵母液に混ぜました。すると、凄い勢いで炭酸ガスが発生します。酵母がタンパク質や糖類を分解して炭酸ガスが発生するというのは、発酵の過程での現象ですから、確かにこれでパンを焼く事ができそうです。サワードウ・ブレッドを普段焼いているような感じで、酵母液と強力粉を混ぜてしばらく放置してそれを元種として、生地に混ぜ合わせてパンを生成するという方法でやってみました。

材料 (元種):

材料 (生地):

が、これは上手く行きませんでした。発酵するにはしたのですが、生地がダレてしまい上手く膨らませる事ができませんでした。以前、キウイから酵母を起こしてパンを焼いた時に感じたのですが、時間をおきすぎると、発酵時に果物が持っている酵素が生地のグルテンを破壊してしまって、上手く生地の膨らみを保つことが出来ないのです。おそらくそういうような理由で、初回のパラダイス酵母でのカンパーニュは失敗でした。

パラダイス酵母でカンパーニュを焼く時のポイント

サワードウ・ブレッドでは、長い時間をかける事でグルテンを引き出し、そして緩やかに発酵させてその酸味と風味を活かすことがポイントですが、パラダイス酵母を使ったカンパーニュは、それでは生地が上手く膨らまない事が分かりました。短い時間でしっかりと発酵させて膨らませるという事を目指します。

ポイント:

  • 初めのストレッチアンドフォールドを多めに行い、生地のグルテンをしっかり引き出す。
  • 一次発酵は発酵機などを使い温度をキープしながら、短い時間でしっかり発酵させる。
  • 成形後の二次発酵は冷蔵庫の中で低温発酵させる。

さぁ、今度は上手く行くでしょうか。二度目のパラダイス酵母でのカンパーニュ。焼いてみましょう。


【ステップ 1】 – パン生地の生成

生地の生成から成形までを出来るだけ短時間で行いたいので、材料は一気に混ぜてみる事にします。

材料:

1. 水に塩をよく溶かしてから、強力粉に注ぎます。そこにパラダイス酵母を全量注ぎます。混ぜる時は、捏ねるというよりも、粉と水を一つに纏めるというイメージです。まずはスクレーパーを使って、ボウルの底の方から粉を返していきます。徐々に粉と水が一体となっていきます。ちなみに、この時凄い泡が発生します。ビビらずにいきます。ある程度粉と水が混ざったら、今度はしっかりと手で一まとまりにしていきます。

2. ボールにラップをかけて室温で30分間生地を馴染ませます。その際に、15分毎に軽くストレッチアンドフォールドを加えます。この時は、発酵させるというよりも、水分と粉とを水和させるのが目的です。

3. 発酵機を使って35℃で2時間発酵させます。途中1時間で一度取り出して、ストレッチアンドフォールドを行います。生地をしっかり伸ばして反対側に折り畳むという作業を、生地を回転させながら8回程度行います(サワードウの時の倍ぐらいのイメージ)。

4. スクレーパーを使いながら、生地を優しくボールから粉をひいた台の上に移します。軽く四角く薄く伸ばし、上下左右で計4回ほど折り畳んで楕円状に丸めて成形をして、布をひいたバネトンバスケットに入れます。

5. 冷蔵庫で3時間程度2次発酵を行います。生地が2倍程度まで膨らんで、指の腹で押して反発する力を感じればOK。

 



【ステップ 2】 – パンを焼く

用意するもの:

1. オーブンにダッチオーブンを入れ250℃で予熱する。

2. 予熱が完了したら、生地をバスケットから取り出し、クッキングシートの上におく。

3. カミソリでクープを入れる。

4. ダッチオーブンを取り出し、クッキングシートごとダッチオーブンに入れ、蓋を閉めて230℃で20分焼く。

5. ダッチオーブンの蓋を開けて、240℃で10分焼く。

食べてみた感じは、少しリンゴの香りが強すぎるかなと思いました。パラダイス酵母の量を減らせば良いのだろうと思うのですが、その場合、少し発酵に時間がかかる事になります。後、発酵がやはり少し弱い気がします。気泡も大小がはっきりと分かれていて、もう少し気泡のサイズにバラ付きが出ると軽い仕上がりになると思うのですが。この辺りの発酵の具合と生地の張りの感じとかはもう少し研究の余地がありそうです。

2 Comments

  • Ai Kondo
    インスタのコメントへの返信をありがとうございました。私は、パラダイス酵母でカンパーニュを1年ひたすら試行錯誤して自前の脳味噌と知恵を絞って焼き続けてきました。目指していたパンは、 1、気泡の大きさは中位で均一 2、クラストは香ばしくパリパリ 3、クラムは程よい歯切れとややしっとり感 4、フルーツ臭は限りなくゼロに近く 5、毎日食べても飽きない 6、時間に追われず仕込める方法以上を踏まえて、本を買ったり、マイナーチェンジしたりを繰り返すなかで、だんだんと自分の体力や暮らしのリズムにあったレシピをみつけました。長野でヒトキトベーカリー というパン屋さんをされているタケウチ様が、無料公開してくださっているレシピを読み込んでいくうちに、腑に落ちなかった点がみるみる間に解けていきました。https://komugiplus.com/campagne-pc-recipe/https://instagram.com/u3_gurico?utm_medium=copy_link私はこちらのレシピを参考に、思い通りよりはるかに上をいくパンが焼けるようになりました。パラダイス酵母の最もベストな発酵具合を見極めるのは、回数を重ねるとだんだんと見えてくるかとおもいます。というのも、私は姉から酵母を譲り受けたのですが、1年かけて自前の酵母に仕立ててきたという感じが強くあるからです。具体的に言いますと、姉から受け継いだ時よりも力強くなりました。パラ原液の季節毎の継ぎの違いも感じています。りんごをあちこちからいただく冬場には、黒糖や頂いたリンゴの絞り汁で継いでいると、夏になり生食のリンゴの在庫がなくなったために、濁りのない100%りんごジュースを継ぎ始めたら軽くライトに仕上がる感じがあります。その発酵具合の今が最高に心地いいわ!というパラダイス酵母さんの瞬間がありまして、その時に仕込むパンは発酵力がつよく、のんびりしていると2次発酵で過発酵になりやすいんですね。でも最高潮で焼きたいなぁと思っていたら、コールドプルーフという方法をタケウチ様に教えていただき、ダレがちだった生地が締まるようになり、グンとしっかりクープも開くようになりました。ただ、計算が苦手な私は元種の分量を半分にして作っていたことに後から気がつき、どうもちょっと塩味が強いなぁと思っていたのですが、合点がいきました。それでも大変に美味しかったので、モチモチ感はほどほど常温保存で熟成を楽しむより冷凍保存の場合は、好みの分量のお塩でいいのかなぁと思っています。元種は、空気に触れて変色した上澄み部分をこそげとってから、パラ原液と粉を2、3日に一度足して、ずーっと継いでつかっています。仕込む前の日にフルーツ臭また酵母の具合をみて水かパラ原液かを選び粉をたして発酵させたものをつかっています。お写真を見る限りではとっても美味しそうなカンパーニュ!夏は寝込む日がおおく、パン作りは小休止で、指を咥えながら試行錯誤の報告を楽しみに拝見させていただきます!
    • Ai Kondo様 パラダイス酵母でパンを焼いていらっしゃるんですね。フルーツ系の酵母はあまり慣れないのと、ついつい慣れたサワードウで焼く事の方が多くなるのとで、なかなかパラダイス酵母の出番がきません。 でも、酵母によって発酵の仕方が全然違うんだなと思ってとても面白いです。これからも機会を見つけて、色々な酵母に挑戦してみようと思います。 ブログの方も時々見ていただけると嬉しいです。サワードウにも是非いちどチャレンジしてみてください!

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